こんなものが欲しかった。 MAGPUL WCK M-LOK
2023年10月、 MAGPUL (マグプル)が地味ながらも画期的な新商品を発売した。それがWCK -Wire Control Kit- M-LOKだ。M-LOKスロットに対応した、ウェポンライトやレーザーデバイスのリモートスイッチ・ケーブル(ワイヤー)の取り回しに便利なアクセサリーパーツである。
ライフルのハンドガードは本来、熱くなる銃身で射手が火傷をしないよう、サポートハンドを守ることが主要な役割ではある。しかし現代戦においては、ウェポンライトやレーザー照準器、フォアグリップなど、様々な光学デバイスや射手をサポートするアクセサリー類を搭載するためのプラットフォームとしての役割も大きい。
特殊作戦を行うスペシャルフォースなどでは、1本のアサルトライフルに何種類ものアクセサリーを取り付けることもあるが、それらのうち光学系のデバイスについては射撃体勢やレディポジション(瞬時に射撃体勢に移行できる準備姿勢)でもON/OFFを操作しやすいよう、本体からケーブルによって延長されたリモートスイッチを配置する場合が多い。その時、サポートハンドや装備類に引っ掛かって邪魔にならないようケーブルをまとめるためのアタッチメントが、この MAGPUL WCKである。
ワイヤーコントロールパーツはM-LOKにこそ相応しい
ハンドガード周りの煩雑なケーブル管理は、大抵の場合テープや結束バンド、ゴムバンドなどで事足りるため、実際のところそんなに問題とは捉えられていない。ケーブルガイド機能を持つ20mmレールカバーも前々から存在はするが、ケーブルを通せる箇所に制限があり、現場の隊員が好き好んで使用している例はあまり多くはない。
ハンドガードの主流がM-LOKへと移行してもケーブル周りの制御パーツは相変わらず少なく、一部のガンメーカーや小規模なサプライヤーが自社パーツとして少量生産している程度に過ぎなかった。
しかし、本来アサルトライフルのフロント周りは自由度が高くあるべきで、セットアップによってケーブルを通す位置を細かく変えることを考えると、ゴムバンドは良いとしてもテープや結束バンドを都度取り換えるのは、それはそれで煩わしいものである。
特に、M-LOKに関してはピカティニーに比べ垂直面以外にもスロットが配置されるハンドガードが多いため、スロットを活かしたケーブル固定具があれば最適な取り回し位置を試行錯誤でき、非常に便利である。
マグプルから登場したWCK M-LOKは、数少ない既存のM-LOK用ワイヤーコントロールの中でも抜群にシンプルだ。レールカバーを兼ねた大き目な他社ワイヤーコントロールが多い中、マグプルはケーブルを通し固定することのみに特化しているため小型で、デバイスやフォアグリップに干渉しにくい設計となっている。GEISSELE SMR MK4やMK8の様に、斜めの面のM-LOKが1段奥まっているような使いにくいスロットも、これであれば活かすことができそうだ。
MAGPUL M-LOK レールカバーType2の固定方法を継承
MAGPUL WCK M-LOKは、スロットへの固定にType2レールカバーと同様ロッキングタブを押し込んで固定する。ボルトとナットを使用する従来のM-LOKアクセサリーよりも軽量かつセットしやすく、内側への突出も少ないためガスブロックがある位置のスロットでも使いやすくなる。
また、WCKに対してケーブルは上下左右から出入りでき内部で直角に曲げることもできるため、ケーブル取り回しの自由度はかつてないほどに高い。M-LOKを生み出した MAGPUL にこそ、こういった便利アクセサリーをどこよりも早くリリースして欲しかった。筆者からしてみれば、ようやく作ってくれたかという思いもある。
マグプルと言えばXTMレールカバーにはワイヤーガイドが付いていたものの、M-LOKになった途端レールカバーからはその機能が排除され、何年もM-LOKでのケーブル取り回しにヤキモキしていた筆者と同じ想いのプレイヤーも少なからずいるのではないだろうか。
実物パーツとなるため日本への正規輸入開始についてはまだ時間が掛かるかもしれない(近年輸出輸入規制が厳しいので、最悪輸入されないかもしれない)が、期待して待ちたいところだ。